イザヤ28-29; ピリピ3

イザヤ書

第28章

28:1エフライムの酔いどれの誇る冠と、
酒におぼれた者の肥えた谷のかしらにある
しぼみゆく花の美しい飾りは、わざわいだ。
28:2見よ、主はひとりの力ある強い者を持っておられる。
これはひょうをまじえた暴風のように、
破り、そこなう暴風雨のように、
大水のあふれみなぎる暴風のように、
それを激しく地に投げうつ。
28:3エフライムの酔いどれの誇る冠は
足で踏みにじられる。
28:4肥えた谷のかしらにある
しぼみゆく花の美しい飾りは、
夏前に熟した初なりのいちじくのようだ。
人がこれを見ると、取るやいなや、食べてしまう。
28:5その日、万軍の主はその民の残った者のために、
栄えの冠となり、麗しい冠となられる。
28:6また、さばきの席に座する者にはさばきの霊となり、
戦いを門まで追い返す者には力となられる。
28:7しかし、これらもまた酒のゆえによろめき、
濃き酒のゆえによろける。
祭司と預言者とは濃き酒のゆえによろめき、
酒のゆえに心みだれ、
濃き酒のゆえによろける。
彼らは幻を見るときに誤り、
さばきを行うときにつまづく。
28:8すべての食卓は吐いた物で満ち、清い所はない。
28:9「彼はだれに知識を教えようとするのか。
だれにおとずれを説きあかそうとするのか。
乳をやめ、乳ぶさを離れた者にするのだろうか。
28:10それは教訓に教訓、教訓に教訓、
規則に規則、規則に規則。
ここにも少し、そこにも少し教えるのだ」。
28:11否、むしろ主は異国のくちびると、
異国の舌とをもってこの民に語られる。
28:12主はさきに彼らに言われた、
「これが安息だ、
疲れた者に安息を与えよ。
これが休息だ」と。
しかし彼らは聞こうとはしなかった。
28:13それゆえ、主の言葉は彼らに、
教訓に教訓、教訓に教訓、
規則に規則、規則に規則、
ここにも少し、そこにも少しとなる。
これは彼らが行って、うしろに倒れ、
破られ、わなにかけられ、捕えられるためである。
28:14それゆえ、エルサレムにあるこの民を治める
あざける人々よ、主の言葉を聞け。
28:15あなたがたは言った、
「われわれは死と契約をなし、
陰府と協定を結んだ。
みなぎりあふれる災の過ぎる時にも、
それはわれわれに来ない。
われわれはうそを避け所となし、
偽りをもって身をかくしたからである」。
28:16それゆえ、主なる神はこう言われる、
「見よ、わたしはシオンに
一つの石をすえて基とした。
これは試みを経た石、
堅くすえた尊い隅の石である。
『信ずる者はあわてることはない』。
28:17わたしは公平を、測りなわとし、
正義を、下げ振りとする。
ひょうは偽りの避け所を滅ぼし、
水は隠れ場を押し倒す」。
28:18その時あなたがたが死とたてた契約は取り消され、
陰府と結んだ協定は行われない。
みなぎりあふれる災の過ぎるとき、
あなたがたはこれによって打ち倒される。
28:19それが過ぎるごとに、あなたがたを捕える。
それは朝な朝な過ぎ、
昼も夜も過ぎるからだ。
このおとずれを聞きわきまえることは、
全くの恐れである。
28:20床が短くて身を伸べることができず、
かける夜具が狭くて
身をおおうことができないからだ。
28:21主はペラジム山で立たれたように立ちあがり、
ギベオンの谷で憤られたように憤られて、
その行いをなされる。
その行いは類のないものである。
またそのわざをなされる。
そのわざは異なったものである。
28:22それゆえ、あなたがたはあざけってはならない。
さもないと、あなたがたのなわめは、きびしくなる。
わたしは主なる万軍の神から
全地の上に臨む滅びの宣言を聞いたからである。
28:23あなたがたは耳を傾けて、わが声を聞くがよい。
心してわが言葉を聞くがよい。
28:24種をまくために耕す者は絶えず耕すだろうか。
彼は絶えずその地をひらき、
まぐわをもって土をならすだろうか。
28:25地のおもてを平らにしたならば、
いのんどをまき、クミンをまき、
小麦をうねに植え、大麦を定めた所に植え、
スペルト麦をその境に植えないだろうか。
28:26これは彼の神が正しく、
彼を導き教えられるからである。
28:27いのんどは麦こき板でこかない、
クミンはその上に車輪をころがさない。
いのんどを打つには棒を用い、
クミンを打つにはさおを用いる。
28:28人はパン用の麦を打つとき砕くだろうか、
否、それが砕けるまでいつまでも打つことをしない。
馬をもってその上に車輪を引かせるとき、
それを砕くことをしない。
28:29これもまた万軍の主から出ることである。
その計りごとは驚くべく、
その知恵はすぐれている。

第29章

29:1ああ、アリエルよ、アリエルよ、
ダビデが営をかまえた町よ、
年に年を加え、祭をめぐりこさせよ。
29:2その時わたしはアリエルを悩ます。
そこには悲しみと嘆きとがあって、
アリエルのようなものとなる。
29:3わたしはあなたのまわりに営を構え、
やぐらをもってあなたを囲み、
塁を築いてあなたを攻める。
29:4その時あなたは深い地の中から物言い、
低いちりの中から言葉を出す。
あなたの声は亡霊の声のように地から出、
あなたの言葉はちりの中から、さえずるようである。
29:5しかしあなたのあだの群れは
細かなちりのようになり、
あらぶる者の群れは
吹き去られるもみがらのようになる。
また、にわかに、またたくまに、この事がある。
29:6すなわち万軍の主は雷、地震、大いなる叫び、
つむじ風、暴風および焼きつくす火の炎をもって
臨まれる。
29:7そしてアリエルを攻めて戦う国々の群れ、
すなわちアリエルとその城を攻めて戦い、
これを悩ます者はみな
夢のように、夜の幻のようになる。
29:8飢えた者が食べることを夢みても、
さめると、その飢えがいえないように、
あるいは、かわいた者が飲むことを夢みても、
さめると、疲れてそのかわきがとまらないように、
シオンの山を攻めて戦う国々の群れも
そのようになる。
29:9あなたがたは知覚を失って気が遠くなれ、
目がくらんで盲となれ。
あなたがたは酔っていよ、しかし酒のゆえではない、
よろめけ、しかし濃き酒のゆえではない。
29:10主が深い眠りの霊をあなたがたの上にそそぎ、
あなたがたの目である預言者を閉じこめ、
あなたがたの頭である先見者を
おおわれたからである。
29:11それゆえ、このすべての幻は、あなたがたには封じた書物の言葉のようになり、人々はこれを読むことのできる者にわたして、「これを読んでください」と言えば、「これは封じてあるから読むことができない」と彼は言う。29:12またその書物を読むことのできない者にわたして、「これを読んでください」と言えば、「読むことはできない」と彼は言う。
29:13主は言われた、
「この民は口をもってわたしに近づき、
くちびるをもってわたしを敬うけれども、
その心はわたしから遠く離れ、
彼らのわたしをかしこみ恐れるのは、
そらで覚えた人の戒めによるのである。
29:14それゆえ、見よ、わたしはこの民に、
再び驚くべきわざを行う、
それは不思議な驚くべきわざである。
彼らのうちの賢い人の知恵は滅び、
さとい人の知識は隠される」。
29:15わざわいなるかな、
おのが計りごとを主に深く隠す者。
彼らは暗い中でわざを行い、
「だれがわれわれを見るか、
だれがわれわれのことを知るか」と言う。
29:16あなたがたは転倒して考えている。
陶器師は粘土と同じものに思われるだろうか。
造られた物はそれを造った者について、
「彼はわたしを造らなかった」と言い、
形造られた物は形造った者について、
「彼は知恵がない」と言うことができようか。
29:17しばらくしてレバノンは変って肥えた畑となり、
肥えた畑は林のように
思われる時が来るではないか。
29:18その日、耳しいは書物の言葉を聞き、
目しいの目はその暗やみから、見ることができる。
29:19柔和な者は主によって新たなる喜びを得、
人のなかの貧しい者は
イスラエルの聖者によって楽しみを得る。
29:20あらぶる者は絶え、
あざける者はうせ、
悪を行おうと、おりをうかがう者は、
ことごとく断ち滅ぼされるからである。
29:21彼らは言葉によって人を罪に定め、
町の門でいさめる者をわなにおとしいれ、
むなしい言葉をかまえて正しい者をしりぞける。
29:22それゆえ、昔アブラハムをあがなわれた主は、ヤコブの家についてこう言われる、
「ヤコブは、もはやはずかしめを受けず、
その顔は、もはや色を失うことはない。
29:23彼の子孫が、その中にわが手のわざを見るとき、
彼らはわが名を聖とし、
ヤコブの聖者を聖として、
イスラエルの神を恐れる。
29:24心のあやまれる者も、悟りを得、
つぶやく者も教をうける」。


ピリピ

第3章

3:1最後に、わたしの兄弟たちよ。主にあって喜びなさい。さきに書いたのと同じことをここで繰り返すが、それは、わたしには煩らわしいことではなく、あなたがたには安全なことになる。
3:2あの犬どもを警戒しなさい。悪い働き人たちを警戒しなさい。肉に割礼の傷をつけている人たちを警戒しなさい。3:3神の霊によって礼拝をし、キリスト・イエスを誇とし、肉を頼みとしないわたしたちこそ、割礼の者である。3:4もとより、肉の頼みなら、わたしにも無くはない。もし、だれかほかの人が肉を頼みとしていると言うなら、わたしはそれをもっと頼みとしている。3:5わたしは八日目に割礼を受けた者、イスラエルの民族に属する者、ベニヤミン族の出身、ヘブル人の中のヘブル人、律法の上ではパリサイ人、3:6熱心の点では教会の迫害者、律法の義については落ち度のない者である。3:7しかし、わたしにとって益であったこれらのものを、キリストのゆえに損と思うようになった。3:8わたしは、更に進んで、わたしの主キリスト・イエスを知る知識の絶大な価値のゆえに、いっさいのものを損と思っている。キリストのゆえに、わたしはすべてを失ったが、それらのものを、ふん土のように思っている。それは、わたしがキリストを得るためであり、3:9律法による自分の義ではなく、キリストを信じる信仰による義、すなわち、信仰に基く神からの義を受けて、キリストのうちに自分を見いだすようになるためである。3:10すなわち、キリストとその復活の力とを知り、その苦難にあずかって、その死のさまとひとしくなり、3:11なんとかして死人のうちからの復活に達したいのである。3:12わたしがすでにそれを得たとか、すでに完全な者になっているとか言うのではなく、ただ捕えようとして追い求めているのである。そうするのは、キリスト・イエスによって捕えられているからである。3:13兄弟たちよ。わたしはすでに捕えたとは思っていない。ただこの一事を努めている。すなわち、後のものを忘れ、前のものに向かってからだを伸ばしつつ、3:14目標を目ざして走り、キリスト・イエスにおいて上に召して下さる神の賞与を得ようと努めているのである。3:15だから、わたしたちの中で全き人たちは、そのように考えるべきである。しかし、あなたがたが違った考えを持っているなら、神はそのことも示して下さるであろう。3:16ただ、わたしたちは、達し得たところに従って進むべきである。
3:17兄弟たちよ。どうか、わたしにならう者となってほしい。また、あなたがたの模範にされているわたしたちにならって歩く人たちに、目をとめなさい。3:18わたしがそう言うのは、キリストの十字架に敵対して歩いている者が多いからである。わたしは、彼らのことをしばしばあなたがたに話したが、今また涙を流して語る。3:19彼らの最後は滅びである。彼らの神はその腹、彼らの栄光はその恥、彼らの思いは地上のことである。3:20しかし、わたしたちの国籍は天にある。そこから、救主、主イエス・キリストのこられるのを、わたしたちは待ち望んでいる。3:21彼は、万物をご自身に従わせうる力の働きによって、わたしたちの卑しいからだを、ご自身の栄光のからだと同じかたちに変えて下さるであろう。


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